今回は、ジャグ連ハナ連の仕組みについて説明したいと思います。
スロットの抽選について
いきなり夢を壊すようですが、ジャグラー・ハナハナに限らず、Aタイプ(ノーマルタイプとも呼ばれます)には意図的な連チャンを引き起こすような特別なプログラムはありません。
Aタイプのスロットは「完全確率」で抽選を行っています。完全確率というのは、パチンコパチスロに特有の用語で、常に確率が一定だという意味合いで使われます。
数学的には、「独立試行」と言われるようです。異なる試行であっても、抽選確率は常に一定なのです。スロットは1ゲーム回すごとに1度の抽選がされるわけですが、どのゲームであってもボーナスの当選確率は変わりませんよ。ということです。
では逆に、独立試行でない抽選とはどのようなものでしょうか?
よく例に挙げられるのは、スーパーとかデパートとかでたまにやっているガラガラ回す福引です。これは福引き機に入っている玉の数が有限です。
極端な話、機械の中に玉が1個だけ残っていてその最後の一玉が当たり玉ならば、当選確率は100%です。逆に、機械の中には玉が100個以上残っていても、当たり玉が全てで尽くしていれば当選確率はもはや0%です。
ガチャガチャや、あみだくじなんかも同じようなことが起こります。
Aタイプは「完全確率」なので、いつどこから打っても確率は変わりません。ボーナス1G後でも、1000Gハマった後でも同じです。
乱数について
パチンコやパチスロ打ちならば、「大当たり乱数」とかいう言葉を聞いたことがあるかもしれません。
「あのメーカの乱数は怪しい」とか、そんな言い方をされたりもします。
乱数とは一体何者なのか?ここで少し乱数について考えてみましょう。
乱数などどうでもいい話に見えるかもしれません。
しかし、あなたがもしジャグラー・ハナハナには作為的な連チャンやハマリがあると疑っているのならば、機械の仕組みを知ることで少しは疑いが晴れるかもしれません。
スロットでは、レバーを叩くたび、毎回一つの数値が取得されます。
この数値は、0から65535の範囲の整数で、65536通りあります。
これが「乱数」と呼ばれるものです。
乱数はその名が示す通り、毎回ランダムに生成されます。次に取得される乱数を予想することはできません。
生成される乱数に規則性はなく、範囲内の数値が等しい確率で選択されます。
つまり、0から65535の数値が、すべて均一の確率で生成されます。
65536なワケ
乱数がなぜ65,536という中途半端な数なのかというと、これはコンピュータの2進数と関係があります。
コンピュータの世界では、すべてのデータが0か1の2進数で表現されます。
この2進数の一ケタ分を「1ビット」と言います。
1ビットは0か1かの2通りしかありません。多彩なデータ表現をするには、ビット数を増やしていくのです。
2ビットにすれば、2 x 2 で4通り
3ビットにすれば、2 x 2 x 2で8通りとなります。
こんな感じで8ビットまで増やすと、256通りとなります。ちなみに8ビットで「1バイト」になります。
256通りはそれなりの数ですが、これではまだまだです。フリーズ役やレア役などの抽選ができませんし、細かな設定差をつけることもできません。
そこで8ビットと8ビットをガッチャンコします。
すると16ビット=2バイトとなり、256 x 256 で65,536になります。
コンピュータは1バイト単位でデータを保存するので、1.5バイトとか中途半端な使い方をするよりも、2バイトきっちり使った方がムダがありません。
こうして使われているのが2バイト=65,536通りの数字なのです。
子供の頃に初代ドラゴンクエストを遊んだ人ならば、あのゲームは経験値が65535までしか上がらないということを覚えているかもしれません。あれも全く同じ理由です。
スロットにおいてはこれくらいあれば多種多彩な当選役や微妙な設定差を表現できます。
フリーズとかプレミア役に目がない人ならば、1/8192、1/16384、1/32768、1/65536という数値を意識することも多いでしょう。
1/8,192といえばGOD揃いですが、あれは65,536の範囲内に8個当たり乱数が存在することになります。1/16384なら当たり乱数は4個、という感じです。
スロット台の中には、メイン基盤と呼ばれる小型コンピュータが入っていて、そこで乱数の生成や当選役の抽選を行っています。
メイン基盤は、レバーオンされた瞬間に乱数を生成し、その乱数が何の役に当選したかを参照します。
たとえば、アイムジャグラーの場合、65536通りの乱数のうち、
設定1ならば
- BIGボーナスは228個
- REGボーナスは144個
- ブドウは10098個
設定6ならば
- BIGボーナスは244個
- REGボーナスは244個
- ブドウは10604個
あります。
ちなみに、この当たり乱数の数の個数の差が「設定差」と呼ばれるものの正体です。
ART機なんかにはよく搭載されている設定6確定演出ですが、あれは設定6以外では当選する乱数をゼロにすれば実現できます。
各機種ごとに、どの乱数がどの役に当選するかの一覧表を持っています。一覧表の内容は、高設定ほど有利になるようになっています。
レバーオンされると、乱数が取得され、当選役の一覧表を参照して、当選役が決定されます。
たとえば、レバーを叩いた時に「24368」という乱数が生成されたとします。
メイン基盤は乱数24368の当選役を参照します。仮にこの乱数はリプレイに当選していたとしましょう。
すると、メイン基盤はリプレイが揃うようにリールを制御します。
当選役テーブルについて
当選役はおそらく、0番から223番までがBIGで、1000番から1223番までがREGとか、そういうふうに数値の範囲でマップされていると思います。
なぜなら、メイン基盤の容量は非常に小さく、すべての当選役乱数をバラバラにしてしまうと、プログラムの効率が悪くなり、容量が足りなくなると思うからです。
しかし、大当たり乱数が並んでいようが、バラバラに配置されていようがそこはあまり重要ではありません。
乱数はランダムなもので、どの数値でも同じ確率で選択されるからです。
「レバーを叩く、乱数が生成される、成立役が決定する」
Aタイプの抽選とは、本当にこれだけです。
告知ランプとかに関しては、サブ基盤と呼ばれるプログラムが担当します。
メイン基盤は、サブ基盤に対して成立役を教えます。
ちなみに、ここの通信は、メイン→サブへの一方通行とされており、サブ基盤からメイン基盤に対して何かを伝えることはできません。
BIGに当選すると、メイン基盤はサブ基盤に対して「BIGに当選したよ!」と教えます。
するとサブ基盤は、音を鳴らしたり告知ランプを点灯させたりします。この時、先告知が選ばれるか、後告知が選ばれるか、ガコっと音がなるかどうかという演出パターンを決定します。
これらがレバーを叩いた一瞬のうちに行われます。
ちなみにサブ基盤は、出玉に関する抽選は一切しません。あくまでメイン基盤から教えてもらった情報を元に演出を制御します。
よくある勘違い
よくある勘違いとして、「これだけハマったからそろそろ当たる」とか「もう当たりすぎたからこれからハマる」とかいうものです。
これは間違いです。
乱数の生成と抽選は毎ゲーム独立した試行として行われています。
冒頭で述べたとおり、独立した試行とは、ある1ゲームの抽選結果はそのゲームで完結し、次のゲームにはなんの影響も持たないという意味です。
だから、2ゲーム連続でBIGボーナスを引く(1G連)もしますし、逆に1000ゲームハマるという可能性もあります。
メイン基盤は「さっきもBIGに当たったばかりしばらくハマってやろう」とか、そういうことは一切しません。
また、サブ基盤が勝手に当選役を書き換えることもありません。
そんなことをしたら違法機です。
昔は裏モノがあちこちに存在した時代もあったので、ジャグラーやハナハナに関しても同じだと思う人がいるのかもしれません。
しかし、今の時代、不正基盤はまず存在しないと思っていいと思います。
僕が台の中を開けて見たわけではありませんが、裏モノ全盛期の頃の台の挙動を思い出すかぎり、今の台は全て正規の範疇だと思います。
裏モノはもっとエグい波でしたから。なので、この心配はしなくていいと思います。
昔は裏モノと呼ばれる台が多く存在しました。
裏モノは、見た目は普通のスロット機ですが中の基盤が不正基盤に交換されているのです。
不正基盤には、意図的にハマったり連チャンしたりをするようなプログラムが書かれています。
裏モノは色々とありましたが、
- リプレイや小役を全カットして当選役をボーナスだけにする
- ある程度の枚数を吸い込んでから放出する吸い込み方式
- 薄い確率で「状態」と呼ばれる天国モードに突入させるとボーナスを連発する
など、射幸心を煽るために作られていました。あとは、ゴト師が不正をするために仕込んだものもあります。
そして、当時はそこらへんのホールで普通に裏モノが置いてありました。
客も「あそこのハナビは裏モノだよ」とか普通に話していました。
そういう台が好きな方は、今なら「沖ドキ!」が一番裏モノのような動きをすると思いますw
あれを正規の仕様で実現したのですから、ユニバおそるべしですね。
ジャグラーやハナハナのスランプグラフを見ると、連チャンやハマリがあって、「何か意図的に仕組まれてるんじゃないか?」と思いたくなるようなこともあるかもしれませんが、僕はそれもないと思います。
確率とは便利なもので、何か余計なことをしなくてもほどほどに荒れてくれるのです。
ジャグ連・ハナ連を信じる人
これは僕の体験ですが、ある時ハナハナを打っていたときのこと。
800ゲーム近くハマった台をやめました。
すると常連さんが「え、やめちゃうんですか?打っていいですか?」と聞いてきました。
僕はやめるつもりだったので譲りました。
すると彼が打ってすぐにBIGが当たりその後4連して1000枚近く獲得しました。
その後「ハメてもらってありがとうございます」と言って、僕にジュースを買ってくれました。
彼は、僕が打っていたハマり台が気になっていたようで「もう少し育ったら打ちたい」と思っていたようです。
Aタイプにゾーンとか天井はないので、この発想は完全に間違っています。
帰り際「100ゲームのゾーンだけ回そうかと思ったけど、気配がいいから120までまわいちゃいました」と言いながら去って言ったのです。
これなんかも典型的な勘違いです。
今回の場合、彼独自のゾーン理論がうまく決まった形になります。
しかし、800ゲームハマっていようがいまいが、こうなる可能性は変わりません。
うまくいけば強烈に記憶に残り、うまくいかなければ忘れ去る。
だから、こういうオカルトが信じられるのだと思います。
このように考えて楽しむのもスロットの一つの楽しみ方だと思います。
また、こういう立ち回りを本気で信じている人に、わざわざ確率について話すこともないでしょう。
台は何も考えていない
抽選の仕組みで説明したように、スロット台には今までの流れとかを記憶する仕組みも波を意図的に作るプログラムもありません。
当然、どんな人がどんな心境で打っているかなどわかるはずもありません。
レバーが叩かれた時に新たな乱数を取得し、その抽選結果によって出目や演出が決まります。
ボーナスに当選していれば告知ランプが光る、リーチ目が出る、ボーナス絵柄を引き込むなど、淡々とプログラムされた通りの動作をこなすだけのコンピュータです。
「もう5連したからハマってやろう」とか「1000Gハマったし可哀想だからそろそろ当たらせてやろう」とか、そんな人情じみたプログラムはありません。
スロットのメイン基盤は、30年くらい前の古いマイコンで、プログラム容量が非常に限られているそうです。
その限られた容量では、複雑な波などをプログラムすることもできません。
しかもプログラムのソースコードは検査機関に提出するらしいので、変な処理を入れればバレてしまいます。
ではあの連チャンやハマリは何か、と思うかもしれません。
それは、確率が持つ性質で、自然現象みたいなものです。
連チャン確率
ジャグラーをボーナス後即ヤメすると、意外とみんな飛びつきます。
天井直前のAT機とかならまだしも、ジャグラーにはゾーンなど存在しません。
しかしみな当たりやすい気がしているようです。
実はジャグラーは、ただ普通に打つだけで50%近い確率で100ゲーム以内にボーナスに当選します。
具体的な数値は設定や機種によって変わりますが、だいたい45%から55%くらいです。
しかし、完全確率の説明でお伝えしたように、ボーナス後だろうといつだろうと当選確率は常に一定です。
ではなぜ、100G以内に50%もボーナスに当たるのか?
しかも実際に当たりやすい気もする?
そのカラクリは、データ表示機器にあります。
ボーナスを引けば、ゲーム数のカウンタは0に戻ります。
そこで 50%でボーナスに当たれば、また0に戻ります。
つまり、ただ単に0Gから100Gの区間を回している回数が多いという、それだけのことです。
なので理論上は、「当たる気がする0〜100G」だろうが「当たる気すらしない500Gハマりの台」だろうが当選確率は変わりません。
例えば、設定6で合成確率1/130のジャグラーがあったとします。この台を1ゲームだけ打った場合、ボーナスが当たる確率は約0.77%です。
「0.77%なんか当たらねえよ」と思うでしょう。
しかし100回もやれば一回くらい当たりそうな気がしませんか?
100回でダメでも1000回やったら?おそらく当たるでしょう。
スロットは1日7,000ゲーム以上回せます。
数多くの試行を積み重ねていけば「そんなの引けねえよ」と思っていた0.77%を1日に何度も引き当てていくわけです。
ある時は1G連したり、短時間に何度も当選したりします。
またある時は、1000回転で1度も当てられないことだって起こります。
この台は1/130で当たるように設定されているというだけで、何ゲーム目に当たるということはあらかじめ決まっていません。
そして、ボーナスを引けばハマリゲーム数のカウントは0(ゼロ)に戻ります。
そのため、早いゲームで当たる割合は必然的に高くなるのです。
これをグラフにすると以下のようになります。
これを見ていくと、53%の当たりが100G以内の発生することがわかります。
何も特殊なモードとかゾーンではなく、常に一定の確率で抽選を続けていった結果です。
これこそが「なんとなく100ゲーム以内は当たりそう」な秘密です。
変なプログラムを書かなくても、ただ確率があるだけでこのように連チャンやハマリを演出してくれるのが確率の性質なのです。
ハマり確率
同時に、天井ゲーム数などがプログラムされていなくても、当たりの99%は600G以内に発生することもわかります。
ハマり続けるというのも決して簡単なことではありません。
Aタイプには天井がないため、この割合が100%になることはありません。
極論ですが、1万ゲームハマり続ける可能性だって0%ではありません。
しかし実際には、そこまでハマり続けるということ自体が天文学的というか奇跡的な出来事であり、ほぼ無視していいレベルの出来事であると言えます。
一般的には確率の2−3倍ハマりは日常茶飯事。
6−7倍ハマリまでは現実的と言われます。
それ以上のハマリに遭遇したら自慢していいでしょう。
確率の10倍となるとわずかに0.0044%です。
絶対にないとはいえませんが、めったに食らわない確率です。
ちなみに、このレベルのハマりはボーナス後、約23,000回に1度起こる可能性です。
毎日毎日スロットを打ち続けてボーナスを50回ずつ引いたとしても460日に1度しか発生しないという超レアなイベントです。
しかし確率の怖いところは、この可能性はゼロではないことです。
「絶対に起こらない」とは言えませんし、それがいつ自分の身に降りかかるかもわかりません。
全国津々浦々、何十万台のパチンコ・パチスロ台があれば、毎日どこかで誰かに発生しているのでしょう。
収束は結果論
よく「確率が収束する」という言葉を聞きます。
これもまた誤解されやすい言葉だと思っています。
「さんざんハマったからそろそろ収束する」
という期待を込めた意味合いで使われることが多いのですが、これも間違っています。
もしそれが予測できるなら、その台は確率が変動することになります。
ガラガラ回す福引と同じになってしまいます。しかし、決してそのようなことは起きません。
けして、「収束力」なる見えざるチカラが働いて設定通りの確率に向かおうとしているわけではありません。
「確率の収束」とかいうとなんか難しい感じがして、それだけで正しいことのように聞こえますが、使い方が間違っています。
確率の収束の正体とは、「結果論」なのです。
試行回数をずーっと重ねていけば、例えば100万ゲームとか回した時、確率は限りなく設定された確率に近くなっているであろうということです。
例えば1/240の台を100万ゲーム回して1/240.01でボーナスに当たっていたとしましょう。
その状態から、仮に1000回ハマりが2度連続で起きたとしても、確率は1/240.02とか、もうほとんど違いが見えないレベルになっているはずです。
収束とは、確率が変動するのではなく、試行回数の分母が大きくなり、多少のブレは取るに足らないレベルにまでなることを言うのです。
このことを「大数の法則」とかそんな言葉で言われることもあります。
では、この収束状態になるのはいつなんだということですが、一般的に確率の分母が大きければ大きいほど時間がかかります。一般には分母の400倍でだんだん落ち着いてくるそうです。1/240のボーナスならば、96,000ゲームとなりますね。
勝ちを目指すなら理論的に
以上、ジャグ連ハナ連の正体ということでAタイプの抽選についてお伝えしてきました。
しかしここまで読んでくださった方でも納得できないこともあると思います。
僕自身もこのような記事を書いておきながら、理不尽な負けを喫してしまうと何か意図的なことをされたのかと被害妄想的な考えが頭をよぎります。
当然オカルトっぽいことを考えたりすることもありますし、特に人と一緒に打つときはオカルト全開で楽しんだりもします。
しかし根っこの部分では、ここで書いたようにスロット台は単なるコンピュータで不正は存在しないと考えています。
ここがブレてしまうと、トータルで勝つことは不可能になると思っています。
僕は
「時代遅れのコンピュータごときに自分の感情を乱されてたまるか!」
という気持ちで淡々と接するようにしています。
ここまで読んでくださった方も、オカルトはオカルトとして楽しみつつも、スロット台の内部的な動作を理解した上で冷静沈着に打つ、そんな打ち方も意識してみてはいかがでしょうか?