どうも!
前回は依存症だった頃の話を書いたのですが、後から読み返してみてかなり恥ずかしくなっているオッサンです。まあ僕みたいなヤツでも勝てるようになったということで、反面教師としてお役に立てれば嬉しいです。
前回、現状の依存症対策はただのポーズなので最終的には打ち手自身が自己防衛するしかないという結論をお伝えしたのですが、今回はノリで
もしお上が本気で対策をすると腹を決めたらどうするべきか
を考えてみようと思います。
これをすべて実現できたら、金銭問題を伴う深刻な依存症問題のほとんどが解決でき、パチンコ業界も健全化され、クリーンなアミューズメント業界となるでしょう。
業界人でもなんでもない元依存症のジャグラー好きなオッサンのファンタジーですので、おヒマな時にでも・・・
対策すべき項目はあのポスターに書いてある
パチンコ依存症に関しては問題点はすでに知られていて、それはこのポスターの右下部分にはっきりと書かれています。
- パチンコをするためにウソをついた
- 使ってはいけないお金を、使ってしまった
- 負けを取り戻そうとして、途中で止められなくなった
- やり始めると、時間や金額がわからなくなってしまう
- パチンコをするために、お金を借りた
- パチンコが原因で、大切な人とケンカになった
つまり、これらを徹底的に対処していけば依存症は減少することといえます。
これまで長きにわたり依存症問題が解決していない以上、「パチンコ業界に対策を考えさせて、それを行政側がチェックする」、なんて生温いものではなく、法的強制力を使って切り込んでいく必要があります。
そして最悪の場合、パチンコ業界がかつての消費者金融や、近い将来のタバコ会社と同じような運命を辿ることもやむなし、という強い覚悟が必要になります。
本気の依存症対策案
遊技許可証の導入
対策の第一歩は、個人レベルの遊技履歴などの情報を収集するところから始まります。
自動販売機でタバコを購入する際には「タスポ」が必要になりますが、これのパチンコ版を導入します。
ネーミングは「P-CAS(ピーカスと読む)」でいきましょう。
これはICチップ搭載の写真付きのカードで、行政機関に申告することで発行されます。運転免許証やパスポートと同様、身分証明書としても使えるスグレモノです。
そしてパチンコ店への入退店時にはP-CASのスキャンを義務付けます。これはSuicaと同様にスマホに登録して使うことも可能にします。
読み取ったデータは、各店舗に設置される「PMS」(月経前症候群、じゃなくて・・・P-CAS Management Server)という管理サーバーに送信されます。
PMSの詳細については後述しますが、PMSはパチンコ店に設置を義務付けるシステムで、店舗内の中継サーバーは警察庁の管理する「CPM」(Central P-CAS Monitor)」という中央サーバーと接続していて、遊技客の遊技状況などを随時送信するためのシステムです。
P-CASの読み取りは入退店時と、サンド(貸玉・貸メダル機)の使用時に義務付けられます。これによって
- 遊技者ID
- 入店した店名と、入店、退店時刻
- 貸玉区分(P4・S20・ライトなど)と利用金額(貯玉の引き出しも含む)
- 交換玉数
これらを完全に把握することができます。
この新規則によってパチンコ店は
- すべての入り口にPカス対応の入場ゲート設置
- サンド全台のPカス読み取り対応
- ジェット全台のPカス読み取り対応
- PMSの設置
- PMSシステムの管理責任者の任命と講習の受講
が必要となります。
パチンコ店からすると「ふざけんな」ですが、「業界を存続させるにはこれしかない、お前らもサラ金業界みたいな末路を辿りたいか」と説得するしかありません。
一方、周辺機器メーカーはP-CAS対応ゲートとサンドの特需があるので文句など出るはずもありませんし、ハードウェアの設計や開発にあたってはホールコンなどの周辺機器メーカーにも投げる形で丸め込みます。
遊技台メーカーにも旨味はあります。今後導入が予想される管理遊技機ではP-CAS対応を義務付け、さらには適当なタイミングで「6号機の高射幸性を適正化する」との大義名分でP-CAS非対応機の撤去を強要するので、入れ替え需要が高まります。
そして利権の元締めである行政側には、システム開発の監督、運用業務に加え、P-CAS業務で利権も生まれます。
遊技情報の開示
収集したデータは単に保存するだけでなく、必要に応じて開示します。
1 本人が参照する場合
P-CASシステムで収集された遊技情報は、P-CASホームページから参照することができます。この際、P-CASのデータを読み取る(ICリーダーなどが必要になります。
2 行政機関や信用情報機構など
基本的には、情報保護の要件を満たした信用情報機構や、警察や各地の行政機関からの請求などがありますが、家族などからの申し立てについては敷居を下げて容易に開示出来るようになります。
3 親族等の開示
家族などの近親者が所定の開示手続を踏むことで概略情報を開示することができます。この情報には詳細な時間や店名は含まれず、総遊技時間や金額など、大まかな情報に限られます。
信用スコアとの連携
日本でも普及しつつある信用スコア(クレジットスコア)ですが、信用スコアを管理する機構にP-CASで収集されたデータから算出した依存症レベルを共有できるようにします。
これによって、既存の評価軸(収入、負債残高、カード枠の使用率、支払・滞納歴など)よりも信頼度の高い信用スコアの算出を可能にします。
これは非遊技者には全く影響がありませんが、依存症の可能性が高いヘビーユーザーには融資の可否を左右する要因にもなり得ます。
この仕組みによって「使ってはいけないお金に手をつける」という問題に対処することができます。また信用スコアを参照する金融機関にとっても潜在的な焦げ付きリスクの減少ができます。
過去の依存症の経歴などで就職などで不利益を被らないよう、このスコアは直近数ヶ月などの限定的な期間でのみ算出するようにします。また匿名化されたデータを政府の諮問機関などに提供することで、依存症対策の改善の推進にも役立ちます。
遊技制限
遊技履歴(入退店時間と貸玉履歴)を収集するシステムが完成すると、ここを足がかりにさまざまな対策を能動的に行うことができるようになります。
たとえば、遊技時間や金額が一定の値を超えた場合に入場ゲートやサンドから注意喚起や、遊技制限を行うことができます。
さらには行政側からカウンセリングの案内などを行うことができます。
行政機関は遊技情報データは個人と関連づけられるので、収入(課税額)や、生活保護等の受給状況などを参照することできめ細かくケアすることができます。
P-CASシステム自体は統一のものなので、日本全国どこで遊技をしても追跡可能です。
のめり込み6箇条に完全対応
P-CASシステム導入と遊技制限をかけるための規則を法制化することで、冒頭で紹介した「のめりこみ 6箇条」のすべてに対応することができます。
1 パチンコをするためにウソをついた
→ 遊技情報の開示でウソがバレてしまいます。
2 使ってはいけないお金を、使ってしまった
3 負けを取り戻そうとして、途中で止められなくなった
4 やり始めると、時間や金額がわからなくなってしまう
→ 貸玉時の注意喚起や遊技制限により、深刻な金銭問題を未然に防ぎます。
5 パチンコをするために、お金を借りた
→ 信用情報機関との情報共有により、依存症が深刻な場合は審査を通りづらくなります。
6 パチンコが原因で、大切な人とケンカになった
→ 利用金額や遊技時間の制限により、のめり込むことが難しくなります。
このように、パチンコ依存症であり続けることの労力の方が大きいため、別の娯楽を求めてパチンコを去るか、かつての大衆娯楽であった日用雑貨を取るような遊技へと戻るかもしれません。
P-CASによって生まれる仕事と知見
このシステム実現のためには、大規模なシステム開発と周辺機器の導入が必要となります。
- P-CASカードと情報管理システムの開発 (国内ITベンダー)
- P-CASの発行・管理業務、窓口やコールセンター業務の委託(行政機関の業務のノウハウがある民間業者)
- 遊技情報の収集システム(PMS)の設計と開発(国内ITベンダー)
- 店舗内の中継サーバー(PMSアプライアンス)の開発 (国内ITベンダー)
- 遊技情報の中央管理システム(CPM)の開発と運用 (国内ITベンダー + クラウド)
- P-CAS対応の入場ゲート(電車の改札のようなもの)の開発と導入 (周辺機器メーカー)
- P-CAS対応の貸玉機(サンド)と計数機の開発と導入 (周辺機器メーカー)
- P-CAS対応遊技機(将来)
といった仕事が生まれます。
各店舗にとっては大きな負担となりますが、社会全体が「どこの駅前にもパチンコ屋がある現状はおかしい」という声を本気で受け止めるのならば、それもやむなしかもしれません。
パチンコ業界は確実に衰退しますが、これらの新規に発生する業務は警察など’行政機関の管轄となるため、そのための予算もつき、業務委託する企業などとコネを作ることで新たな利権を得ることができます。
そしてこの知見をうまく活用することで、日本版カジノが登場する際にはアドバイザーとしての立場を得ることもできます。
パチンコ店の旨味がない・・・
しかし、これらを見ていると、パチンコ店にとっての旨味がどこにもありません・・・
これは言い換えれば、パチンコ店が依存症の人に大きく依存する形で成り立ってきたからかもしれません。
ガチャ課金などが社会問題になりかけたネットゲーム業界も、ごく一部の超ヘビーユーザーが利益の9割以上を叩き出しているなんて話もありました。通信業界においては、ごく一部のヘビーユーザーが帯域の9割以上を使っているなんて話もあります。
僕のかつての同僚はネトゲの廃課金者で、たった一つのゲームだけで100万円以上課金していたらしく、チームで何かを討伐だか対抗戦みたいなのをやるときには、ネット上の仲間から頼られるヒーローだったそうです。
パチンコ業界においてこうした統計的な数字が出ることはないでしょうが、依存症のヘビーユーザーがお店に落とすお金が利益の相当部分を占めていることが推察できます。
となると、自主規制をすることができないままお上に強制的に規制されるようなことになれば、かつての消費者金融や、現在進行形で居場所を狭められているタバコ業界と同じような末路を辿るのかもしれませんね・・・
最終的には、メーカーが自分の利益を確保するために直営店を経営したり、またはゲームセンターやカラオケ、ボーリングなどのアミューズメントに吸収されたり、逆にパチンコホール企業がそうした業界を吸収して変化していくのかもしれませんね。
規制はパチンコやスロットが好きな人間としては寂しいですが、僕は、自由時間にぶらぶらしてパチンコ屋に行くという、そういうライフスタイルが好きなので、業界がなくならない限りは規制されて射幸性が下がっても普通に打ちに行くと思います?